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Breakthrough 突破する力 伝統と冒険 平尾成志が育む「BONSAI」というアート

ソフトモヒカン姿で入国できず



卒業後に弟子入りしたのは、さいたま市の「蔓青(まんせい)園」。関東大震災で被災した東京の盆栽業者が移り住み、名品盆栽の産地として知られるようになった「大宮盆栽村」にある。90歳近かった3代目の加藤三郎は、初対面の平尾に言った。「盆栽はもっと世界に出ていかなくては」。年老いた師から発せられた「世界」という言葉に、面食らった。


三郎は「自然を愛する心は平和な世界につながる」との信念の下、海外から弟子を受け入れ、各国で技術指導にあたった「国際化」の先駆者。2008年に亡くなったが、息子の初治(75)は「平尾君の外交的な才能を見抜き、海外に広げる手伝いをしてほしいと言っていた」と話す。


1年目が終わるころ、猛烈な不安に襲われた。「一人前になっても食べていけるんだろうか?」。「日本盆栽協会」の会員数は現在約5000人で、約30年前の4分の1ほどに減っている。職人の雇用環境も安定しているとは言えない。園を開こうにも、資金を貯められないのではないか。


「とにかく今やれることをやろう」。深夜まで残り、手入れに必要な技術を反復練習した。剪定や芽摘み、針金かけ。園内の1000本を超える盆栽に水をやり、気候や木の調子を見極める観察力を磨いた。枯れる寸前まで弱っていた客のゴヨウマツを約1年半かけて、よみがえらせるまでになった。

(次ページへ続く)

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