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[No.161]渡邉さやか/Watanabe Sayaka





紺色の液体からとりだした布を水で洗うと、チーターの毛皮のような丸い模様が茶色くうかびあがった。


「バッグにしたら、かわいいかも」


8月初旬、宮城県気仙沼市の藍染め工房で渡邉さやか(34)は試しに染めた布を手にとり、歓声をあげた。


布は、タイ北西部の村で女性職人が伝統的な手つむぎの糸で織った。仲買人に買いたたかれて、低収入にあえぐ女性たちを支援するタイのNGO代表パサウィー・タバサナン(30)が、日本で売ることはできないかと渡邉の元に持ち込んできたのだ。


渡邉は、気仙沼で藍染め工房を営む藤村さやか(35)に布の染色とデザインを託した。藤村は2年前に東京から夫の故郷の気仙沼に移住し、長男を出産。「子どもがいる人も働ける場所を」と工房にベビーベッドを置き、地域の親たちと衣類や雑貨をつくって販売している。営業までは手がまわらない藤村にとって、渡邉からの依頼は渡りに船だった。


なお発展途上にあるアジアと、震災からの復興を急ぐ東北。それぞれの土地で胎動するビジネスの種をかけ合わせ、うまれた製品を消費地に投じる。そのストーリーを考えるのが、社会に貢献する事業開発やコンサルティングを請け負う渡邉の仕事だ。いずれの地域にも、課題が山積しているが、「マイナスかけるマイナスはプラスになる」と渡邉はいう。


アジアとのつながりは、東日本大震災後の2012年に生まれた。カンボジアの首都プノンペンで立ち寄ったネイルサロンで、経営者のカム・ケムラ(26)と出会う。ケムラは前年に研修で訪れていた日本で大震災を目の当たりにし、「自分も故郷であるカンボジアのために何かしたい」と一念発起。雇用のためサロンを始めたところだった。


だが女性たちに技術はない。収入を上げようと悩むケムラに共感した渡邉は、毎月のようにプノンペンに通い、日本の美容専門家をボランティアで派遣。いま、現地の女性に最先端のメイク技術を教える学校づくりを目指している。


この出会いは、アジア、中米、アフリカの女性企業家のネットワークづくりに発展した。先月、エチオピア、ミャンマーなど海外から女性企業家6人を招き、東京・渋谷や仙台市、長野県上田市でフォーラムを開いた。




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