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[No.151]朝倉玲子/Asakura Reiko 黄金色のオイルは、樹齢200~300年になる古木からの恵み。生の油性のフルーツジュースだ。「決して姿を見せない黒衣みたいな力にひかれる」





早春の冷たい雨が降り続く3月中旬、都内の小さな食品店の奥で、8人の女性たちが真剣な顔でガスコンロを囲んだ。中心に陣取って野菜のスープの作り方を教える朝倉玲子(50)は、手にしたびんから黄金色の油をたっぷりと鍋に注ぐ。「そんなに入れるの?って思ってるでしょう。でも、素材の持ち味を引き出すには、この量が大事なのよ」


イタリアからオリーブオイルを輸入し、ついには自分で生産まで始めた。全国で開いた「使い方講習会」は通算1000回を超える。こつこつファンを増やし、扱量は年1万5000本まで増えた。東京の百貨店など204店に並ぶ。 「もう終わりだ、って思ったところから次が始まったんだから不思議だよね」。朝倉が「できのいい自慢の娘」と呼ぶオリーブオイルに出合ったのは、人生どん底の時だった。


幼少の頃から料理好き。高校時代は毎日お菓子を作って昼休みに友だちに配った。OLを辞め、新聞で知った料理家たなかれいこ(62)に弟子入りする。「希望者がいても普通は会わないけど、私のことをよく調べてきた彼女の熱意に心が動いた」とたなかは言う。


野菜を納めにきていた生産者の男性と26歳で結婚。千葉県の専業農家に嫁ぎ、朝から晩までモンペ姿で有機野菜を作った。近所でも評判のおしどり夫婦。「永久就職できた」と信じて疑わなかったが結婚4年目の夏、三行半を突きつけられる。好きな人ができた、と夫は言った。


福島・会津若松の実家に帰って泣き暮らした。来る日も来る日も布団の中でメソメソしている朝倉に業を煮やし、普段は無口な妹が枕元に立って言った。「いつまでそうしているつもり!」。我に返った朝倉は、イタリアで料理の勉強をしようと決めた。現地に旅行したとき、おいしい料理にありつけなかったのが心残りで、漠然と夢見ていた。具体的な目標があったわけではない。「どこか他のところへ逃げたいという一心でした」



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