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Break-through 突破する力 山野井泰史

想像出来るだろうか?
標高差2200メートル。東京都庁舎をほぼ9棟重ねた高さの、垂直に近い雪氷と岩の壁がある。
その壁に、たった一人で挑み、ロープを使わずに登っていく。少しでもバランスを崩せば墜死する。両手に握ったピッケルを雪氷に打ち込み、登山靴に装着したアイゼンのつめをけり込んで体を支える。体を壁から離し、眼球をせわしく動かして周囲の状況をつかむ。そしてゆっくりと、しかし着実に、高度を上げて行く。
山野井泰史。ヒマラヤにそびえる世界第6位の高峰、チョーオユー(8201メートル)の南西の壁をよじ登り、山頂に達する前人未踏のルートを切り開いた。94年のことだ。
たった一人というだけではない。酸素ボンベに頼らず、約43時間というスピードで山頂に立った。「人間わざとは思えない」。登山界は驚いた。その後も数多くの記録を打ち立てた、世界トップレベルのソロ・クライマーだ。
ソロとは、単独登攀を意味する。
なぜ、ソロなのか?
「100%、その山の大きさを知りたいから」
(次項へ続く)

自己評価シート

自己評価シート

 

 

自分にどんな「力」が備わっているのか。何が強みなのか。編集部が選んだ10種類の力を、本人の「独断」により、自信のあるものから順番に並べてもらった。

山野井泰史(やまのい・やすし) 登山家

1965年、東京都生まれ。
山野井が挑むソロは大きく分けて2種類ある。88年のトール西壁は、大岩壁をロープや支点を利用して登るソロ。94年のチョーオユー南西壁は、雪氷と岩の垂直に近いミックスルートをほぼノーロープで攻略するスタイル。02年度の朝日スポーツ賞、02年の植村直己冒険賞を受賞。著書に『垂直の記憶』(山と渓谷社刊)。

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