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世界の書店から

[第198回]「病は気から」???@ミュンヘン

美濃口坦 翻訳家兼ライター


ゲルハルト・ウィスネウスキーの『verheimlicht - vertuscht - vergessen 2017 (秘密にされ、隠され、忘れられて)』は2016年に報道されなかった事件が記載されていて、10年も前から毎年刊行されているそうだ。


先進国で右のポピュリズムが台頭しつつある。ドイツも同様で、その支持者はメディアに対する不信を口にする。本書もそのような人々を目当てしているとのことで、好奇心に駆られて手にとる。


大多数の事件が題名通りに「秘密にされ、隠され、忘れられて」いるせいか、ほとんど知らないことばかりで、読みづらくて先に進めなかった。


そこで目次を見ると英のEU離脱があり、こちらは有名な事件で読む気になる。本書によると、メルケル首相の難民政策が英国で離脱賛成派に決定的な追い風になったとある。英国はEU加盟国の国民の移入は阻止しにくいが、難民は受け入れなければそれでもすむ話だ。そのために、わざわざEUを離脱したなどとは考えにくい。それなのに本書がドイツの難民政策をもちだすのは自国を重要だと思いたいからではないのだろうか。


ドイツのメディアに接して不満に思うのは隣国の人々がどんなことを考えているかよく報道してくれないことだ。この点で、負けて怒るにしろ勝って喜ぶにしろ,自国チームばかりを問題にしているサッカー報道とあまり違わないような気がすることが少なくない。


Minoguchi Tan

翻訳家兼ライター。1974年にミュンヘンに移住。80年から約20年、書店を経営。共訳書にアイベスフェルト『比較行動学』(みすず書房)。



(次ページへ続く)

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