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[第197回]超絶至難のなぞなぞ@ロンドン

園部哲 翻訳家

photo: Semba Satoru

昨年秋にGCHQ、つまり英国諜報活動の主要組織である政府通信本部が出した『The GCHQ Puzzle Book』というクイズ本が、ベストセラーの一角を占めている。あれこれ説明する前に、本書の中から(おそらく)一番やさしい問題を意訳して紹介しておこう。


「昨日窓の外を眺めていたとき、彼はあるものを見た。そしてデジタル時計に目を落とし、二つのことに気がついた。(1)時計は午後8時3分を示している。(2)その時計はまた、彼が窓の外に見たのと同じものを示している。彼は何を見たのだろう?」(ヒント:中学1年程度の英語の知識が必要です)


GCHQはアメリカの国家安全保障局(NSA)に相当し、第2次大戦中ドイツ軍の暗号「エニグマ」や日本軍の暗号を解読した政府暗号学校をその母体とする。この組織が1942年1月に求人広告としてクロスワードパズルを新聞に掲載したという史実もあり(同問も本書中に掲載)、クイズで相手を試すというのは初期からの伝統だったのだろう。戦後政府機関に昇格してからも、情報収集や暗号解読の専門家集団たる彼らはこの伝統を守り、暇になると同僚に難問をいどんだり、クリスマスカードになぞなぞをしかけたりしていたらしい。そんなふうにして、余暇(および勤務中)に彼らがひねりだしたなぞなぞの集大成が本書なのである。


ときにはシェークスピアや外国語を知らないと解けない問題もあるが、かなりの部分は頓知や逆転の発想力を試されるもので、クイズ番組が要求する知識とか学力はあまり関係がない。とはいえ、すべてがとんでもなく難しい。


それでは最後、同書中では(たぶん)2番目にやさしいクイズで締めることにしましょう。


「Brahmsの交響曲第1番、Elgarの第1、Mahlerの第5、Schubertの第8、Schumannの第3、Borodinの第2、Shostakovichの第9、Brucknerの第7、という順序の後にはまるBeethovenの交響曲は第何番でしょう?」(両問の答えは末尾に掲載しています)



(次ページへ続く)
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