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[第195回]一編の詩がくれる希望@ソウル

戸田郁子 作家、翻訳家



今週のランキングでは20位に落ちてしまったが、1位と対になった詩選集『もしかしたら、星があなたの哀しみを持っていくかもしれないプラス』が、先週まで上位にあった。なにが「プラス」かと言うと、選者の一言がつけ加えられているのだ。


「あなたの大切なものを書き出してみよう」「だれかに手紙を書こう」「しりとりをしよう」「左手で筆写してみよう」など。絵や地図に色を塗ったり、名画を鑑賞するページもある。


「声を出して朗読してみれば、詩の味がわかる。書いてみれば、詩の深さに届くことができる」と、金詩人は解説する。


21歳で、母校である地方の小学校の教師となり、60歳の定年まで勤めた人だ。自然の恵みや故郷への愛おしさなどを、飾らない言葉で詠み、在職中から高い評価を受けた。名声を得ても故郷を離れず、常に子どもたちと共にあることを選んだ。


だからだろう。「プラス」の言葉は、まるで小学校の先生のように饒舌だ。ほら、こんなふうにやれば詩が作れるよと、語りかけてくる。


一方で、自作詩10編には、一切のコメントなし。選りすぐり、熟成された詩句が、直球で胸に飛び込んでくる。「くもっている/雪が降るのか/おまえに/こわいほど/会いたい」(「一日」金龍澤)


実は私もノートに、この詩人の詩を何編か、筆写したことがある。講演会に出かけて、自作詩の朗読も聞いた。まっすぐな生きざまを昇華した、金龍澤の詩が好きだ。



毎年、この時期になると『トレンドコリア』シリーズが売れる。ソウル大学のキム・ナンド教授が率いる、生活科学研究所消費トレンド分析センターが、膨大な資料をもとに、過ぎた年と来たる年のトレンドを分析したものだ。


2017年版には、「赤い酉の年。飛翔の翼を広げよ」と副題がある。低迷続きの韓国経済の突破口は「チキン・ラン」。鶏だって飛べるという「夢」をあきらめず、狭いケージをけ破って、広い世界に飛び出せ、と言う。そんな奇跡にすがるしか、方策なしということか。


17年のトレンドは「ヨーロライフ」。人生は一度きり、という意味だ。刹那主義とは異なる。人目を気にせず、自身のための消費や旅行を楽しむことだ。


おひとりさまブームは加速し、「1コノミー」が定着するという。一人での外食を韓国人はとても嫌がったものだが、最近はよく見かける。家族主義に決別し、物に執着しない小さな暮らしが、トレンドになりつつある。



Toda Ikuko

作家、翻訳家。図書出版土香経営。仁川の旧日本租界に仁川官洞ギャラリーを開く(金土日開館)。訳書に『世界最強の囲碁棋士、曺薫鉉の考え方』(アルク)など。



(次ページへ続く)

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