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――本が出て何か変わりましたか?
ロヴィーン スウェーデンの消費者が行動を起こしました。店頭で「この魚は持続可能なのか?」と尋ねるようになりました。そして、たとえばタラのように枯渇しつつある魚については、購入をボイコットするようになってきたのです。産地を明示するようになったり、基準をつくって認証ラベルをつけたりと、漁協や小売業者の意識も変わっています。「あなたの本のおかげだ」と多くの人たちが言ってくれます。とても光栄です。

photo:Yoshiyuki Suzuki
――環境ジャーナリストから政治家に転身したのは、どうしてですか?
ロヴィーン EUは世界で最も大きな水産市場の一つですし、漁業区域も非常に広い。欧州議会の議員になれば、持続可能な漁業の実現に向けてEUの共通政策を改革していくことができる。だとすれば、ジャーナリストとして新たな本を書くよりも意義があるのではないか。そう考えるようになったのです。
私が議員になった直後に、EUとギニアの漁業協定の更新時期がきました。EU各国の漁船がギニア沖で操業するために、軍事独裁政権に金を払っていいのですか? 私は欧州議会の漁業委員会でそう訴えました。そのころ軍事政権が反対派の人々に発砲して多数の死傷者を出すという事件もあって、この漁業協定の更新は否決されました。
――世界中で漁業政策を改革しないと海の生態系に未来はないですね。
ロヴィーン 食物連鎖の上位に君臨するマグロやタラ、サケが乱獲で激減したため、海の生態系が全体的に不安定になっています。すぐにでも、こうした大型の魚を回復させないと、海の生態系は壊滅してしまいます。
――今回の来日では、水産庁や築地市場などで意見交換し、講演でも水産資源の適切な管理を訴えましたね。日本には、どんな役割を期待しますか?
ロヴィーン 日本は世界的な漁業大国ですし、この秋には名古屋市で生物多様性条約第10回締約国会議(国連地球生きもの会議)が開かれます。生物多様性が最も失われつつあるのは海ですから、これを守る大切さを国際的な場で議論することは非常に重要です。日本は会議のホスト国として、海の生態系を守るための国際的な議論をリードしてほしい。日本の消費者やジャーナリスト、政治家にもできることは多い。天然の魚を回復させるため、力を尽くしていただきたい。
(聞き手 GLOBE記者 原島由美子)