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業種の垣根を超えた“日本型”のスマートシティ開発の可能性

PR by 三菱商事 公開日:
左から豊田啓介氏(建築家、noiz/gluonパートナー、東京大学生産技術研究所客員教授)、曽我新吾氏(三菱商事)

── スマートシティは一般的に、「ICT(情報通信技術) などの活用によって社会課題の解決を目指す都市・地域」と定義されますが、思い浮かべる街のイメージは人それぞれだと思います。スマートシティをどんな街ととらえていますか。

豊田 これまでの産業の変遷から考えてみます。1980年代は、日本の「モノづくり企業」が世界を席巻していました。90年代に入ると大手ポータルサイトのような「情報プラットフォーマー」が登場しましたね。その後、「情報プラットフォーマーでありながらモノも扱う」企業が出てきました。
さらに近年は、「モノの情報を編集する」ことにより、既存の車や建物などを効率的・経済的に扱うことが可能になりました。自家用車が時にタクシーになったり、住宅が時にホテルになったり。今後はタクシーやホテルといった単一領域にとどまらず、都市のあらゆる領域を複合的に扱う流れになっていくでしょう。こうした「モノの世界と情報の世界を高次元・高解像度でつなげるプラットフォーム」がスマートシティの本質といえます。

── スマートシティ開発における日本企業の立ち位置や可能性をどう見ていますか。

豊田 今日のスマートシティ開発のありようを分類すると、いわゆるITジャイアントが膨大な資金力・技術力を投入して1社主導で進める「米国・中国型」と、開発したシステムはオープンにしつつ社会還元を意識しながら国・自治体が運営していく「欧州型」があり、いずれも一長一短です。そのどちらでもない「日本型」が実現すれば、世界と戦える可能性は十分にあると考えています。それが、高い技術開発力を有する日本企業が業態・業種の垣根を越えて集う、企業連合型のスマートシティ開発です。
曽我 いままでなかったような、専門や事業領域を超えてメンバーが集まることで生まれる“化学反応”というのはたしかに広がりつつあり、きちんと全体をまとめていくことがスマートシティとして重要ですね。
豊田 日本のものづくり企業が持つ知見やノウハウは大きな強みですが、モノと情報を接続するにあたって、情報に翻訳する言語を持ち合わせていないことがネックでした。モノづくり企業をはじめ色々な企業が技術ノウハウやデータを共有し補完し合うことができれば、日本は世界有数のスマートシティのプラットフォーマーになれる可能性があります。そこには業態を横断した新しい動きが求められるので、分析機能も備えた商社がプレーヤーになると考えています。

── 三菱商事は、すでに国内外でスマートシティ開発に取り組んでいますね。業態・業種の枠を超える必要性をどう考えていますか。

曽我 三菱商事はいま、東南アジア及び国内でスマートシティ開発を進めていますが、不動産開発のみならず、モビリティ、エネルギー、リテールなど非常に多岐にわたる領域が関わっています。我々が目指しているのは、あくまでも社会課題解決や住民のニーズに応えていくこと。それらを起点に事業領域を横断し、適切に役割分担することを大切にしています。

豊田 現状のスマートシティ開発では、各企業が扱うデバイスや技術を売ることが念頭に置かれているケースがあります。これでは単体のマーケットで競り勝っても、本格的なスマートシティ実装の際に互換性がなく役立たないということになりかねません。スマートシティを実現するには、業態ごとに閉じた従来のビジネスを一旦解体し、再構成・共通化するプロセスが必ず必要になります。そこで、三菱商事のようにさまざまな産業と関わっている企業にインテリジェントな“メディウム(媒介者)”としての役割を担ってほしいと期待しています。社会全体のエコシステムを作り上げるうえでも、まずは商社という1社のなかであれば実証実験がしやすいのではないかと思っています。
曽我 多種多様な産業に広く深く関わっているという“接地面積”の広さは我々の強みですし、昨今はIT・情報サービスをはじめとするスタートアップ企業との協業も増えています。企業や業態・業種の枠を超えて集まれる場や架け橋になり得るという立ち位置を生かし、今後もスマートシティ開発に取り組んでいきたいと考えています。

次回は、三菱商事がいま進めているスマートシティ開発について語り合います(10月3日公開予定)

【座談会 ダイジェスト動画】