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[第6回]海に消えた妻と娘

日本の海沿いのどこかに、高松祐子(当時47)はいる。あの津波から数年を経ても、誰も彼女を発見していない。いや、本当に彼女を捜していたと言えるのは、夫の高松康雄だけだった。


祐子が働いていた銀行や女川湾の海岸、山の中も捜したが、一向に見つけられない。そこで高松は海に目を向けた。


水中がれき除去のボランティアを率いていた地元ダイビング店のインストラクター、高橋正祥に相談した。車中に閉じ込められたり、水中を漂ったりする遺体を何体も見てきた彼なら、妻を見つける力になってくれるはず。そう確信し、計画を打ち明けた。「56歳にもなってダイビングを習いたいのは、海にいる妻を見つけ出したいからなんです」


ある日、高松は成田正明の自宅を訪ねた。彼もまた、娘の絵美(当時26)を津波で失っていた。ともに七十七銀行女川支店の行員だった祐子と絵美はあの日、避難した銀行の屋上で、波にさらわれたという。高松は娘を失った成田のことが気の毒で、絵美も一緒に捜すことを申し出た。でも成田は、自分で潜って娘を捜し出すことを決意した。


娘のための弁当


今年1月、一行は女川港の東、竹浦に向かった。高橋は成田が潜る準備を手伝った。


絵美の母、博美は週末になると、娘のために特製弁当をこしらえる。豚汁、ハンバーグ、エビフライ……。娘の好物ばかりを水で分解される箱に詰めて、ボートや埠頭から放ったり、海にそっと浮かべたりする。これを、5年間ずっと続けてきた。「わが子のためなら、親は何だってできるものです」

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