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[第4回]モハメド・アリと父と私


サファリ・ルックに身を包んだボクサーが、赤いセーターに青いスカート、素足にスニーカー姿の女の子の頭に、優しいパンチをお見舞いしようとしている。この大きな男性はモハメド・アリ。女の子は、私だ。


写真家のカール・フィッシャーが、雑誌「Sport」1974年9月号の表紙撮影の合間に撮影した。ボクシングの歴史において、のちに「キンシャサの奇跡」と呼ばれる一戦を前に、店頭に並ぶよう作られた号だ。



父が恋に落ちた日


当時この雑誌の編集者だったのが私の父、ディック・シャープだった。アリとの撮影秘話について、父は編集後記にこう綴っている。


「アリを表紙に起用すると決めたときから、彼にはサファリ服を着て、対戦相手を倒す銃を持ってもらいたいと決めていました。彼は『イスラム教徒として、武器は持てない』と言いつつ、喜んでハンターのポーズを取ってくれました。


撮影後、アリは私の3歳の娘にも、おどけて何発かパンチをくれたのです。アリがパンチするたびに、娘は大笑いでした。対戦相手のジョージ・フォアマンには、もっと強い一撃が必要でしょう」


私は、アリが白人の特権の象徴である衣装に身を包んでいる危うい魅力に気づくには幼すぎた。その日のことを思い出したくても、40年前の記憶はおぼろげだ。それでも、とてもひょうきんで、子どもと楽しそうに遊んでいるこの男性が、偉大な人だということはわかっていたのだと思う。


そして父がどんなにアリのことを大好きだったかということも覚えている。父は亡くなる数カ月前の2001年、私によく聞かせてくれていた二人の思い出話を、ABCニュースで披露した。


「1960年にモハメド・アリに会ったとき、彼の名前はまだカシアス・クレイで、彼の故郷のルイビルを訪ねました。2人で車を走らせたとき、信号待ち中に、白人のとても美しい女性が角に立っているのが見えました。『きれいな子だな、おい』と言うと、彼は私の腕をつかんで『お前いかれてんのか? この街でユダヤ人が白人の女の子を見つめたら、電気イスもんだぜ』って。(編集部注:ディック・シャープはユダヤ人)。あの日以来、彼のことを愛してやみません」

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